霊場参拝基礎知識
2023.09.08
はじめに
皆さんは、江戸時代の明和年間に設置された「大和北部八十八ヶ所」と呼ばれる集合霊場が奈良にあるのをご存知だったでしょうか。
お寺巡りをされる方でしたら、奈良のお寺さんの山門前の石柱や、門標などに「大和北部第〇〇番霊場」と刻まれた案内をどこかで見かけたことがあるかもしれません。この集合霊場、今まで大々的に賞伝されてきたわけでもないので、「八十八も札所があるの?」「四国八十八ヶ所みたいに巡拝できるの?」と疑問になるような謎めいた存在ではなかったですか。ところが札所となっている寺院の参拝帰りに「大和北部の御朱印をください」と授与所などで申し出ると、御朱印が頂けるのです。そこでちょっと調べてみると、大安寺が一番札所であるとのこと。さらに満願すると「結願印」が頂けるというではないですか。また、当初はお大師仰が盛んな時代、それを大和で巡拝できるようにとの願いから結ばれた集合霊場だったようです。
「ところでほんとに満願できるの?」と疑問を抱きつつ、巡拝と取材をすすめること約半年。札所は南都七大寺と呼ばれる大寺院から、国宝や重要文化財の仏さまがいる寺、自然豊かな山寺、修行ができる寺、檀家寺、地域で大切に守られてきた仏さまなど、実に豊富なラインナップとなっていました。参拝の証に集めた御朱印の数々も、毎日拝んでいたいほど、有難いものでした。
そこに辿りつくまでの道のりはけっして楽ではありませんでした。体力も根気もいります。予約がいる寺院だってあります。しかし、札所の数だけ、素敵な出会いが待っていました。
ぜひ、奈良を訪れる一つのきっかけに、素敵なご住職や仏さまに会いに、この本を片手に、大和北部
巡礼をはじめていただけると幸いです。
大和北部八十八ヶ所霊場を巡る会